発達凸凹

「WISCを受けてみたら?」と言われたときに考えること〈保護者向け〉

しばゆき
しばゆき
こんにちは。『しばゆき』こと柴田ゆき野です

相談機関でわりと多い主訴です。

WISC(ウィスク)とは、正式にはWISC‐Ⅳ(一部ではWISC‐Ⅴ)。

学童期向けの知能検査です。

だれに向けた記事?

今回の記事は、学校などから「WISCを受けてみてはどうですか?」と言われた保護者の方向けの記事です。

中でも

◇WISCで何が分かるのか知りたい。

◇本当に受けたほうがいいの?

◇なんでうちの子が言われるの? など

上に書いたような、疑問をお持ちの方向けにまとめています。

あてはまる方は、スクロールしていってくださいね。

『WISC‐Ⅳ』で分かること

はじめにも書きましたがWISC‐Ⅳは知能検査です。

知的発達が平均的なのか、それとも遅れがあるのか、平均より高いのか。

それがはっきり出ます。

IQ(知能指数)がわかる

IQという言葉はWISCという言葉以上に一般的だと思います。

IQ=100が平均値で、WISCでは明確に「全検査IQ98」などの数値で出てきます。

おおむねIQ85~IQ115が平均域と考えられていますので、平均の中に含まれるのかそうでないのかが明確にわかります。

知能を構成する4つの要素それぞれの力がわかる

知能検査はWISCだけではありません。

さまざまな知能検査がありますが、それぞれで『知能』のとらえ方が少しずつ違っています。

WISCでわかるのは

◇言語理解(言葉の理解力、表現力)

◇知覚推理(視覚情報の処理、活用の力)

◇ワーキングメモリー(聴覚情報への注意力や短期記憶の力)

◇処理速度(速さと正確さを両立させて作業を遂行する力)

以上4つの項目で知能指数を算出しています。

項目ごとに、全検査IQと同じように数値で明確に出てきます。

全体的なゆるやかさ、能力間の凸凹

以上の2つのことから、

◇全体的な知的発達に緩やかさがあるのか

◇能力間の凸凹が大きく力を発揮しづらいのか

などの様子が見えてきます。

どういうときにWISCを受けるのか?

しばゆき
しばゆき
非常に悩ましいところですが…

IQが明確に出ます、とは先ほどお伝えした通りです。

なので、WISCを受けるのは『IQをはっきり知りたいとき』だと思うのです。

学習の場面や日常生活で困りが大きい

おそらく、WISCを勧められたということは、多少なりとも『日常の中での困り』があるのだと思います。

例えば…

◇授業内容についていけていない(一部の教科、または全部の教科)

◇授業に参加できていない(立ち歩く、教室から飛び出す)

◇生活年齢相応の対人関係が築けない など

上記は知的発達の緩やかさが関係していることがありますが、それ以外の発達特性の影響である場合も考えられます。

知的発達の影響か、発達障がいの影響かはっきりしたい

知能指数が分かることで、表に出ている困りが知的発達の影響かそうでないのかがある程度わかると思います。

もし、知的発達の影響ではないとすると、考えられることとしては…

◇ADHD(注意欠如多動症)

◇SLD(限局性学習症)

◇ASD(自閉スペクトラム症) など

いわゆる『発達障がい』(神経発達症)の影響ではないかということです。

ただ、『WISCの結果が〇〇だから発達障がい』と言えるわけではありません。

WISCの検査結果と合わせて、それぞれの発達障がいの可能性がどれくらいあるのか、また別の検査(お子さんが受ける検査や、保護者向けの聞き取り式の検査など)を受けることになります。

注意していただきたいのは、『診断できるのはお医者さんだけ』ということです。

だれでもWISCって受けられるの?

おそらく勧められたときに『〇〇で受けられるので、受けてみませんか?』と言われた方も多いのではないでしょうか。

受けられる場所としては

◇市や県などの発達相談機関、教育相談所

◇児童精神科や発達小児科のある病院

◇スクールカウンセラー(一部の地域) など

上の2つがほぼほぼ占めるのではないかと思います。

予約が多く、数か月先ということも多いです。

WISCが取れない場合もある

『WISCを受けてみたら~?』と言われて予約、実際に受けに行ったはいいものの『WISCが実施できない』場合もあります。

理由としては…

◇WISCの対象は5歳0か月~16歳11か月

◇実施時間…1時間半程度(目安)※3時間超えの場合も

◇検査者と1対1で行う

実施時間は、本当に個人差が大きいです。(早いからいい悪いの問題ではない。)

なので、これだけの時間集中して検査者とやり取りができる耐性がまず必要です。

また、知的発達の緩やかさが非常に大きく、5歳以下であると推測される場合、具体的に何歳何か月くらいの知能指数なのかがわからないということにもなります。

以上の場合は、

◇WISCではない、田中ビネー知能検査や新版K式発達検査、WPPSIなどの知能検査を実施

◇検査を受ける耐性ができてから受ける

◇2日に分けて実施される場合もある

ここで、わたしが声を大にして言いたいのは…

しばゆき
しばゆき
検査は子どもへの負担が大きい!!

ということ。

子どもの負担も考えてすすめてほしい

知能検査って、とってもとっても負担が大きいと思っています。

年間100本ほど、知能検査を取っていたわたしが感じる負担は…

◇(多くは)初めての場所や初めての人(検査者)と密室(笑)で過ごす。

◇「わからない」にたくさん直面する。

◇いつ終わるかわからない。

◇どんな問題が出るかわからない。 など

なので、『困ってそうだからWISC!』みたいな感じで、軽くすすめるのではなく、よく考えて提案してほしいなと思います。

検査を受けなくても支援は受けられる

検査や診断を受けなくても、支援は受けられます。

困りが表出しているのなら、そこに焦点を当てて支援をすればいいわけです。

なので、もしWISCを提案されたら

必要なのは『検査』なのか、それとも『支援』なのか

を、まず考えてみていただければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。